童話「てぶくろをかいに」のこと

新見南吉の有名な童話「てぶくろをかいに」について。

ご存知だと思いますが、ちょっとあらすじを…。

★雪がふって、手が冷たそうなこぎつねに、

母ぎつねは手袋を買ってやりたいと思います。

でも、母ぎつねは人間が怖くて町に行くことができません。

そこで、こぎつねの片方の手を人間の手に変えて、

「この手に合う手袋をくださいと言うのよ」と教えます。

夜、こぎつねはお店の戸をトントンと叩いて、戸のすき間から

手を出すのですが、間違えてきつねの手を出してしまいます。

でも店の主人は、きつねと知りながら、温かい手袋をくれたのでした。

 

手袋の温かさが、ほこほこと伝わってくるお話ですよね。

私が小学生だった時、国語の教科書に、
新見南吉の「てぶくろをかいに」が載っていました。

国語の時間、先生に指名され「こぎつねが、お店の戸を

トントンとたたきました」というところを読みました。

すると先生が「トントンというところが、とっても上手ね」と

褒めて下さったのです。

このお話が、ますます好きになったのは言うまでもありません。

 

それからずいぶん経って、母親になった私は、

「てぶくろをかいに」を娘に読んでやりました。

そのとき、ふと「どうして、母ぎつねは、こぎつねを一人で

町に行かせたのだろう」と思いました。

母ぎつねは、人間を怖いものだと思っていたはずなのに、どうして?

私なら、こぎつねを一人で手袋を買いになんか行かせない、

どんなに怖くても私が買いに行く! と思いました。

母ぎつねは、こぎつねが帰ってくるまで、どんなに心配だったことか。

自分が行けばよかったと、後悔したのではないでしょうか。

 

子どものころは、こぎつねになって読み、

母親になると、母ぎつねの気持ちに寄り添って読むのですね。

今も大好きな童話の一つです。

ただ、この作品は男の人の書いたものだな、と思います。

私も童話を書きますが、こぎつねを一人で町に行かせる設定は、

母親には思いつかないだろうな…と。