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ブランコの思い出 その②

ブランコと言えば、忘れられない思い出が

もう一つあります。

 

6歳のころ、私は、幼稚園に続く一本道を

走っていました。

とても急いでいたことだけは覚えているのですが、

それがなぜなのか、理由が分かったのは

何十年も経ってからのことです。

 

母の話によると、その日、近所のおばあさんが

カンカンになって家にやって来て、こう言ったそうです。

「お宅の娘は、根性が悪い。

うちの孫が『待っとってー』と追いかけていくのに、

追いついたとたん走りだす。

それでまた『待っとってー』と追いかけると、

追いついたとたん走りだす。

孫が可哀想でしかたがなかった」と。

 

母は、この話を、私が大人になるまで何度もしました。

戒めの意味があったのだと思います。

その度に、私は身が縮む思いがしました。

可愛い孫をそんな目に合わせるなんて、

おばあさんがカンカンになるのも無理はありません。

私は、何て意地悪だったのでしょう。

どうして、待っていてあげなかったのでしょうか。

おばあさんが言うように、私は「根性悪」なのだと思いました。

でも、母がその話をするとき、

いつも微かな違和感がありました。

(私は、本当に、そんな意地悪をしたんだろうか…。)

何かが違うような気がしました。 

しかし、その何かがわからないので言い訳もできず、

モヤモヤを残したまま、何十年も時が過ぎていきました。

 

ある時、何がきっかけだったか忘れましたが、

あの日あんなに急いでいたのは何故か、突然思い出したのです。

一本道の先には、幼稚園があります。

私は、幼稚園のブランコに一刻も早く乗りたかったのでした。

 

そう言えば、一つか二つ年下の女の子がついてきました。

ここからは想像ですが、

「待っとってー」と女の子が言うので、私はじりじりしながら

女の子が追いつくまで待っていたのだと思います。

一刻も早く幼稚園に行きたい気持ちを押さえ、足ふみしながら・・・。

女の子が追いついたとたん、もう心と足は勝手に走り出し、

私の後ろを女の子が「待っとってー」と追いかける・・・。

それを繰り返しているところを、おばあさんは見ていたのです。

 

私は、あの時、女の子が追いつくのを待っていました。。

6歳なりに葛藤して、6歳なりの知恵で。

本当に心優しい、いい子だったら、ブランコは諦めて
女の子の手を引いて、一緒に歩いていくのでしょう。

でも私は、いい子ではなかったかもしれないけど、

少なくとも意地悪ではなかったのではないでしょうか。

ある意味、子どもらしい子どもだったと思いました。

そのことに気付いたとき、切なくなりました。

 

何十年も晴れなかったモヤモヤが、やっと消えました。

 この思いを伝えたいのに、母はもういません。

あの世で再会したら、

忘れずに、このことを言おうと思っています。